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桂離宮に思う


「美しきもののみ機能的である」とは、日本建築界の巨匠・丹下健三氏の言葉である。氏の意図とは異なるかも知れないが、個人的にとても素敵な言葉だと思っている。
美しさは個人の嗜好によって異なるが、建築における美の定義付けは、まさにここに集約されているのではないか。氏が「機能的なもののみ美しい」と言わなかったのも、深くうなずける。

元来、美しさと機能性とは相反するものではない。
日本の美は、世界に先んじて優れたものを兼ね備えている。その昔、モダニズムの巨匠をして驚愕せしめた事実が、その多くを物語っている。
 
アカデミー修学以来、様々な“美しい物”を見てきた。研究課題で「BAUHAUS」を発表したのがきっかけとなり、タウトが美しさのあまり涙したという桂離宮を訪れたのもその一つだ。
 
生来日本家屋が好きで、子供の頃の縁側の居心地は忘れ難い。あれこそ“家だ”といったインパクトがある。子供の頃であるから、当然ながら価値観は自然と戯れる事に力点がある。家の中に居乍らにして外へ放たれる縁側は、とてつもなく居心地の良い場所であったのだ。


桂の美は、あらゆる機能性を兼ね備えた美の宝庫である。ヴィスタ、パースペクティブ、黄金比etc…、驚くほど細部に亘ってすべてが計算づくでありながら、それらの作為を悟られない美しさがある。日本人の美意識である“奥床しさ”とでもいった心遣いに溢れている。

ちょっとした心遣いで、居心地はとてもよくなる。
次元は異なるが、この心遣いこそが、最も“美しく機能的なもの”ではないかと、個人的には思っている。また、一流と呼べる人には、共通してその心がある。

妻の「やってみたら」の一言でアカデミーの一員となった私だが、それまで実に様々な仕事を経験してきた。そのなかで一流の方たちとの出会いがあり、一緒に仕事をさせていただけたことは、何より代えがたい“宝”である。

浦岡敬一先生は「東京裁判」や「愛のコリーダ」など、日本映画の黄金期を陰で支えられた一流の編集者である。錚々たる名監督たちと仕事をしてこられた方だ。
私は編集者になるつもりはなかったのだが、先生からのお声掛けで、ある映画作品の編集をお手伝いさせていただいた事がある。(若かりし頃、お金に困っていた私に、アルバイトをさせてくれたのだ)
近年、派手な切り貼りの奇を衒う映像が横行しているが、先生の編集は、観る者をそれと気付かせずに映像の世界へと引き込んでゆく。
「息を吐いているところで(フィルムを)切り、つないだ映像が(また息を)吐いていたら、見ていて苦しくなるだろう」とおっしゃった。
そう、先生は人物の息遣いまで重視されて(映画のフィルムを)編集されていた。もちろん、そんなことに注意して観ている観客は少ない。というより、いないに等しい。ところが無意識にせよ、不自然なつながりは、観ている者に不快を感じさせるのだという。ここにも一流のこだわりが、奥床しいまでに陰の努力として注がれていた。

エコ化が人類の命題と掲げられて久しいが、桂に代表される日本建築の美は、人のみならず、自然に対しても、驚くほどの関係性を持って造られている。否、人と自然との関わり方を、教示せんばかりの工夫が折りなされている。

桂に関していえば、月を見る為の工夫がそのひとつ。ELの設定などは、一見、不自然なまでの高さで設定されていたりするから面白い。是非ともそこで夜の月を眺めてみたいものだと思った。

夜がなくなったと嘆いた名作詞家がいたが、夜空の月すら眺める事のない現代人は、“自然”という生き物を見ずに過ごす時間があまりに多い。エコといわれても、自然を見ず、触れず、感じずに毎日を生きていれば、エコといわれても、根底からピンとこないところがあるのではなかろうか。
自然との付き合い方を忘れてしまい、ただの観光地巡りにしか自然を感じない人にとっては、結局のところ他所事に思うのも無理もないのかも知れない。

しかし、機能のみ追及して美しさを見失った人間は、どこへ向かって行くのだろう。
エコといっても、結局、人の心の濁りをなくすところからしか始まらない。直接自分に関わることにしか興味を持たない心の偏り  エゴをなくすことからしか、真に美しい機能性は発揮されてゆかないに違いない。

桂離宮を訪ねて、つくづく西洋と東洋  なかんずく日本建築との違いを思った。日本建築には、桂のように、自然を“愛でる”姿勢がある。それに対し、西洋建築には、自然を“利用しようとする”姿勢があるのではないか。そんな所感を持った。
現代のエコへも通ずる美しき精神論。自然を愛でる共生の姿勢こそが、本当の意味での機能性と呼ぶにふさわしい“豊かさ”に通じてゆくのではないだろうかと、感慨を深くした。

当初、ICという仕事自体がよく分からなかったが、今では、ICこそが、この「美しきもの」に直接携わる仕事であると思っている。機能的であるということは、結果的に心地良さを与え、その心地良さを与える発露は心遣いにある。そして、その人の心にこそ、美しさがあるのだと。現在では、当たり前に水や空気が売られるように、気を使えない人が多くなった今では、それも貴重な存在なのかも知れない……。

町田校長の講演を直接間近で聞かせていただいたのが、とても強く印象に残っている。ICのパイオニアである町田先生をはじめ、一流の講師陣に恵まれたアカデミーでの経験は大変に貴重なものだ。
尊敬する町田校長の“小函”に、このような所感を入れさせていただき、大変に光栄である。また機会があれば、いろいろと所感を述べさせていただきたいと思う。

町田ひろ子アカデミー東京校
インテリアコーディネーター専門科
1年Cクラス
入江達也







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